2016.4.5

スラックキー・ギターの名手ジョン・ケアヴェが語る、故郷ハヴィから生まれる音楽愛〈その2〉

2016年1月に来日したジョン・ケアヴェのインタビュー、前回に続く後編です。長年の付き合いであるおもさんが聞き手となり、話題は故郷や家族のことから、2人が出会った1998年のスラックキー&ウクレレ・フェスティバルへと及びました。ジョン・ケアヴェのハワイ島ライブ情報もありますよ。

john_omo──インストゥルメンタル・アルバム『D〜Tour』ではウクレレを弾いていますが、普段からウクレレは弾きますか?
「たまに弾くよ。きみたちほど上手くはないけどね(笑)。あのアルバムでは古めかしいオールド・スクールな“ティッキティッキ”というウクレレ・サウンドが欲しかったので、自分で弾いた」
──すごく良かったですよ。
「ありがとう。あのアルバムではぼくの友人ミュージシャン、チャーリー・リカイドがリズム・ギターとベースを弾いてくれている。彼は70年代にはカラパナと肩を並べたSummerのメンバーで、現在はKohalaのメンバー、ミュージシャンとして素晴らしいだけでなく、ぼくのすべてのCDでエンジニアリングを担当してくれている。録音にはKohalaのギタリストのチャールズ・ブロットマンのスタジオを使うけれど、エンジニアにはチャーリー・リカイドだ。彼がぼくのサウンドをよく理解している。みんな地元ワイメアの仲間だよ」
──オリジナル曲「Sweet Kona Sunset」のように、地元ビッグ・アイランドの曲を作るのは好きですか?
「意図的にやっているわけではないが、自然とそうなっている。自分自身、家族やビッグ・アイランドとの強い絆を自覚しているので曲の多くにそれが表れるんだね。まずは自分にとって心地良い題材を歌い、それに人々が感情移入しシェアしてくれると嬉しい。だから自分の生活が変わると、作る曲も変わるよ。今は孫娘たちと一緒に暮らしているので、「Play With Me Papa」といった曲ができるしね」
──今回の来日も、2人のお孫さんたちと一緒ですね。john_keawe_stage3
2009年に「Play With Me Papa」を作って、まだ幼かった彼女たちに歌わせた。CDにはあどけないベイビーのような歌声が入っているよ。妻が彼女たちにフラを教え、今ではステージで共演できるようになった(写真)。ナオミが17歳、シェリーは14歳だ。彼女たちの歌声に合わせるとDチューニングの曲が多くなるね」

──生まれ故郷ハヴィの魅力は?
カメハメハの誕生地であるという、豊かな歴史をもつ町。ハヴィのあるコハラ地域からは数多くのミュージシャンが誕生している。リム・ファミリー、クライド・“キンディ”・スプロート、Kohala……この地域は音楽的に才能豊かだ。しょっちゅう誰かが裏庭で楽器を弾いているし、パーティがあればみんな一緒にジャムセッションをする。ぼくのルーツはコハラ。島外に出てぼくの音楽を人々とシェアするのは好きだが、追い出されない限り、平和なコハラから引っ越すつもりはないね(笑)」

──私がハワイ島ノース・コハラのスラックキー&ウクレレ・フェスティバルであなたの演奏を見たのは1998年、1999年、2000年の3年間でした。場所はカパアウのカメハメハ・パーク。あのフェスのことは憶えていますか? (写真のポスターは2000年のもの)
「憶えているよ。ぼくらは主宰者だった。というか妻のホープが先頭を切ってオーガナイズして、出演者を手配していた。ぼくたちが実際に裏方で動いたのは最初の年だけだったけれど、あのフェスで日本から来た関口さんとイワオの2人の演奏を見たときは驚いたね」
──ぼくたちトイズのメンバーも1999年と2000年に行って、演奏しています。
「そう! 大人数だったね」
──日本のウクレレ・ブームのきっかけとなったのは、あのフェスティバルなんですよ。
「そうなんだ! 知らなかったよ。あのとき、日本からUAというアーティストもやって来て、チャーリー・リカイドの家でレコーディングさせたっけ。スラックキー・ギターが必要だというので、ぼくも少しだけ演奏した。彼女はぼくの孫娘ナオミと同い年ぐらいの、幼い赤ん坊を連れていた」
──あのフェスティバルは3年続けてコハラで開催されましたが、その後は?
「残念ながら3年で終わった。またコハラでやりたいけどね。でもハワイ各地のスラックキー・フェスには今も出演しているよ。南カリフォルニアのフェスティバルに足を運ぶこともある。ただ、メインランドよりは、ハワイを優先。あまり旅は好きじゃないし、孫たちの面倒も見ているしね。息子は3人育てたけれど、女の子は初めてだ。欲求も多いし、感情もドラマチックだね!」

現在(2016年1月29日取材時)66歳のジョン・ケアヴェは、孫娘たちとの生活に翻弄されながら、愛するハヴィの大自然のなかで精力的に音楽活動を続けています。ハワイ島におけるジョン・ケアヴェのライブ拠点地はこちら。月1回程度の出演なので、出演日はご確認ください。

● ハヴィ / Bamboo Restaurant & Gallery (http://www.bamboorestaurant.info/)
● カヴァイハエ / Blue Dragon Restaurant (http://www.bluedragonrestaurant.com/)
● ワイコロア / King’s Shops (http://www.kingsshops.com/)
● コナ / Royal Kona Resort (http://www.royalkona.com/)
※ ロイヤル・コナ・リゾートでは毎週木曜5時からハワイアン・ミュージックのコンサートが行われ、第1木曜はジョン・クルーズ、第2木曜はジョン・ケアヴェ、第3木曜ヘンリー・カポノ、第4木曜シリル・パヒヌイ等、週交代でビッグ・アーティストの出演が楽しめます。

D_TourJohn Keawe & Charles Recaidobnr_itunesamazon
D〜Tour』
(2013 Homestead Productions)

 

play_with_me_papa

John Keawe bnr_itunes amazon
『Play With Me Papa』
(2010 Homestead Productions)