2016.5.10

ウクレレのバーチュオーソが勢揃いするウクピク・イン・ハワイで、2016年ウクレレ界を盛り上げるミュージシャンたち

日本ウクレレ業界の第一人者である、サザンオールスターズ・関口和之氏がプロデュースする「ウクレレピクニック・イン・ハワイ」は、世界的に活躍する凄腕ウクレレ・プレイヤーたちが集うハワイの野外イベント。8回目となる今年は2016年2月14日にハワイのカカアコゲートウェイパークで開催され、トイズミュージックスクールを主宰しE KOMO MAIでも活動中の“おもさん”ことおもたにせいじが行ってきました。現地のミュージシャンとも親交のあるおもさんが、現在のハワイアン音楽シーンをリードするプレイヤーたちをピックアップしながら、2016年「ウクピク・イン・ハワイ」の名プレイを振り返ります。

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IMG_00422月14日朝8:00にホノルル空港到着後、ウクピク会場であるカカアコ・ゲートウェイ・パークへ直行。
まず最初にステージを堪能したのは、ロビ・カハラカウ(写真)です。彼女は90年代にハワイアン・コンテンポラリー・バンド、その名もハワイアン・スタイル・バンドの歌姫として活躍し、今や “シスター・ロビ”の愛称でも知られるベテラン・シンガー。演奏した曲は「Ku’u Wainohia」など。自身でギターを弾く貫禄十分な立ち振る舞いと、CDと寸分も違わない凛とした歌声に驚かされました。この曲はロビの姉妹クウ・カハラカウが作曲、2000年のソロ・アルバム『All I Want』に収録されています。

IMG_0074続いて我が友、ジョディ・カミサト率いるウクレレ・ハレ(写真)のステージ。ウクレレ・ハレはジョディの主宰するカイムキにあるウクレレ・スクールで、生徒たちは全員「Aloha」の 文字がプリントされた真っ赤なTシャツ姿で登場、ハワイらしいさわやかさを印象づけます。最初に演奏したのは、そのお揃いのユニフォームがとても可愛らしかったケイキ(keiki)──つまり子供たち。彼らの「キラキラ星」「喜びの歌」では、つたないながらも未来のジェイクばりに弾く真剣な姿と、ウクレレであたたかくフォローする講師ジョディの姿に、微笑ましさを感じました。続いて、ケイキの父兄と思われるアダルト世代による演奏で「Tokada」。これはジェイク・シマブクロがピュア・ハート時代に作曲&レコーディングした技巧派をうならせる曲ですが(トッカータが由来)、腰を振って踊りながらの弾きっぷりはさすがに堂々としています。最後は、年配プレイヤーたち──クプナ(kupuna)による「In The Mood」「Diamond Head」。これぞ究極の老後の在り方です! たどたどしい演奏ではありますが、弾いているご本人たちの楽しそうなこと、楽しそうなこと。我らがトイズウクレレ楽団と同じレパ ートリーの「In The Mood」では思わず、楽団とジョイントしたい! と心の中で叫びました。

ベテラン職人プレイヤー、ブライアン・トレンティーノのステージでは、ハワイのスタンダード「Ke Aloha」「Lei Nani」などを演奏。もっと間近で見たいと思いつつ、2月といえどもハワイの太陽はさすがに暑かったのでステージから少し離れた木陰に腰を落ち着けると、バンド全体が奏でるサウンドがハワイのやさしい風に乗って乾いた空気とほど良くマッチし、言葉にならない心地よさを満喫できました。しかも、スタンダードのハワイアンを小気味よく演奏するブライアンのスタイルは素晴らしい。彼の人柄も最高なんです。

IMG_0229さて、スウィート・ホリワイアンズ、勝誠二さんのステージが続き、いよいよハーブ・オオタ・ジュニア with ジョン・ヤマサト(写真)の登場です。父オータサンの正統派奏法を受け継ぎならが独自のスタイルを打ち出す、我が師匠(と私が勝手に言っているだけですが)ハーブ・オオタ・ジュニアは、いつもながらのマイペースな雰囲気で難しい曲をさらりと弾きこなすジュニア・スタイル。エルヴィス・プレスリーの曲「Can’t Help Falling In Love」では、お馴染みの相棒で、90年代末にはジェイクとのピュア・ハートでも活躍したジョン・ヤマサトによる アコースティック・ギターのサポート・サウンドが心地良かった。後半は、先ほど演奏したブライアン・トレンティーノも参加して、ジュニアとブライアンの共演CD『’Ukulele Friends』に収録されている「Gm Fleas」で息の合ったところを見せてくれました。

そうこうするうちに、オータサン with ナンドー・スアンの登場です。ウクレレ界の重鎮、オータサン。彼がいなかったら 今のウクレレブームはなかったと言っても過言ではありません。しかしこの日は残念ながら音響の調子が悪く、特にサポート・ギタリストであるナンドー・スアンのギター音がモニターから聞こえないようで、かと思うと今度は爆音で返ってきたりして、ナンドーさんは演奏できずしばし中断。滅多にないトラブルで、少々消化不良気味のステージとなってしまいましたが、これもライブならではの楽しみ方のひとつかもしれませんね。

IMG_0248魅力的なハワイの歌姫、ライアテア・ヘルム(写真)のステージではハワイアンのスタンダード「Maile Swing」「Ka Uluwehi O Ke Kai」「Henehen Kou Aka」を堪能。彼女のステージは華やかで、そのファルセットボイスはいつ聴いても 素晴らしく、飛行機移動の疲れも吹っ飛びました!

その後、新しいテクニックで最近話題のカレイ・ガミアオ、そして同じくテクニックと表現力に注目が集まる女性プレイヤー、タイマネ・ガードナー(写真)のステージが続きました。IMG_0264特にタイマネの「Stairway to Heaven Medley」は、ロックフィーリング全開。曲調が縦横無尽に変化するメドレーを息の合ったバンドメンバーとこなしながら、裸足でステージを激しく動き回るプレイスタイルは、セクシーで格好いい! のひと言です。

イベントの最後は、ウクレレピクニック・イン・ハワイ主宰者でもある関口和之さん率いるお馴染み、セキグチ・バンドの登場。ウクレレと口笛を中心としたフュージョン風サウンドが、ハワイの夕暮れに広がっていきました。

IMG_0160ジョディ・カミサト IMG_0242ハーブ・オオタ・ジュニア
IMG_0292タイマネ・ガードナー IMG_0053関口和之さん