2016.10.9

ウクレレ伴奏の名手ブライアン・トレンティーノが伝授する、コードの発展形とアンサンブルの極意

2016年、ハーブ・オオタ・ジュニアとの共作アルバム『Ukulele Friends』でナホク・ハノハノ・アワードを受賞したブライアン・トレンティーノは、これまで数多くのハワイアン・アーティストたちのバックでウクレレを演奏し、ハワイ音楽業界で絶大な信頼を得ているセッション・ミュージシャン(2016年8月号のインタビュー参照)。彼を指名するシンガーが後を絶たないのは、彼が主役を引き立てる奏法を心得ているからです。そのブライアンが、トイズミュージックスクールでウクレレ・ワークショップを開催しました。テーマは“musical awareness”──意識することで生み出せる音の調和、アンサンブルです。IMG_0031アンサンブルをより良いものにする手法のひとつとして、「ステージでアーティストと共演する場合、コードを共演者とは違うポジションで弾くことで、コードの音色を発展させることができます」とブライアン。

ハワイアン・ソングで繰り返し弾く「ハワイアン・ヴァンプ」を例にとり、キーがGの場合のヴァンプ「A7 – D7 – G」とエンディング「G – F – F# – G」をどうすれば発展させられるか、実践しました。

 ● ヴァンプの発展形

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※ ①を②のように発展させます。

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● エンディングの発展形
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ending_1

※ ①を②③④のように発展させます。

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アンサンブル感を出すためには、共演者と同じポジションでコードをおさえるよりも、同じコードをハイポジションで押さえたり(エンディング③)、テンション・コードを押さえたりする(エンディング②や④)ことで、調和しつつも多彩な音色を客席に提供できるわけです。

「演奏では、リードを弾くとき、ソロでプレイするとき、主役の伴奏をするとき、それぞれ弾き方が異なります。リードなら、伴奏に合わせて自分のメロディを際立たせなければならない。ソロプレイは、メロディとストラミングをすべてひとりでこなす必要がある。そして伴奏では、シンガーやリード・プレイヤーである主役を引き立てなければならない。“musical awareness” とは、全体のアンサンブルを意識して、自分の音を出すことなんです。このワークショップで学んだ基本理論をみなさんそれぞれに応用して、ぜひ自分の音楽に役立ててください」とブライアン。

ワークショップは満席、大盛況のなか終了しました。