ウクレレ奏者であり、音楽ライター&翻訳家でもある松田ようこが、ビートルズ歴史書の決定版『Tune In : The Beatles – All These Years, Vol. 1』(Mark Lewisohn著)の日本語版翻訳に参加し、このたびその日本語版『ザ・ビートルズ史 誕生』上・下巻(マーク・ルイソン著、山川真理・吉野由樹・松田ようこ訳)が河出書房新社より刊行されました。

beatles_book2著者マーク・ルイソンはビートルズ研究家の第一人者で、ビートルズ本人たち以上にビートルズに詳しいと言われる人。その彼が数十年に及ぶ地道な資料集めと、ビートルズのメンバーを含む世界中の関係者インタビューから、デマや一方的な主観を排除して真実を探求・解明し、それらを時系列にまとめ、伝記としてストーリー化したのが本書です。つまり『ザ・ビートルズ史』は、記録や証言によって裏付けされたビートルズの本当の足跡を読み物にしてあり、今後は本書に書かれた「事実」を元に、ビートルズが語られていくことになります。
ビートルズがどうやってEMIからデビューできたのか、あのデビュー曲「ラヴ・ミー・ドゥ」がレコード化されるにあたりどんな衝突があったのか、どの真実も驚きと感動が詰まっています。そして文章の隅々からあふれ出すビートルズのライブ・サウンド。彼らのいた時代の風景や空気感は雑音まで含めて、本書で余すところなく再現されます。
なお、今回発行された本書『ザ・ビートルズ史 誕生』はビートルズの誕生から1962年12月31日までを完全網羅。つまり、ビートルズがレコードデビューする1962年までのお話です。それでも日本語版はそれぞれ800ページ超の上・下巻という分厚さ。どれだけ丁寧に、完璧に、ビートルズの歴史が綴られているか分かってもらえるでしょうか。ルイソン本人によると、今回の『誕生』を第1弾とし、1966年までを網羅する第2弾は2020年に、解散までを網羅する第3弾は2028年に刊行予定です(いずれも原書の予定)。
1958年生まれのルイソンが人生をかけて向き合う、ザ・ビートルズ。彼が70歳になる頃に、この物語を完結させる心づもりなのでしょう。ぜひ、末永くお付き合い下さい。

松田ようこ プロフィール
幼少期からエレクトーン、ウクレレ、10代からギターを弾き、現在はウクレレと歌をメインにして活動。Swapmeet Girls、OMO ♪ YOKOとしてライブを行い、ビートルズなど60年代以降のポップスをとりあげて楽曲に新たな息吹を与えている。CD『モア・ウクレレ・クレイジー』『アロハ・ブリーズ』参加。また翻訳家でもあり、訳書には「キャロル・キング自伝」他がある。

beatles_book1マーク・ルイソン著、山川真理・吉野由樹・松田ようこ訳
『ザ・ビートルズ史 誕生』上・下巻
(2016 河出書房新社
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