2016.7.1

100周年を迎えたカマカ・ファミリー。3代目となる孫たち──クリス、ケイシー、フレッドが語るカマカの誇り

ウクレレの老舗ブランド「カマカ」が2016年に設立100周年を迎えました。カマカ・ウクレレは、以前当サイト(http://magazine.toysmusic.com/play_012/)で紹介したとおり、1916年にサミュエル・カマカが設立。1953年にサミュエルが亡くなると、息子のサミュエルJr.とフレッドによって引き継がれ、現在は孫たち──クリス、弟のケイシー、いとこのフレッドJr.──が中心となって運営するという、ハワイの伝統あるファミリー・ビジネスです。
6月25日に恵比寿ガーデンホールで行われたカマカ・ウクレレ100周年記念コンサートには、そのカマカ一族が総勢15名で来日。製造責任者であるクリス・カマカ、カスタム部門責任者のケイシー・カマカ、経営責任者のフレッド・カマカJr.、そしてクリスJr.に話を聞きました。

──カマカ・ファミリーでこうして日本を訪れるのは久しぶりですか?
IMG_0219ケイシー「こんなふうに来るのは子供のとき以来です。妻や子供たちやきょうだいと一緒に総勢15名!(笑)」
クリス「残念ながら父親のサミュエルJr.と叔父のフレッドは来ていないけれど、会場に展示された写真パネルに、オープンカーに乗った若かりし母の写真があって、嬉しいですね」
フレッド「ぼくが前回来日したのは、ちょうどカマカで働き始めた頃でした」

──カマカは家族で代々引き継がれてきましたが、カマカ家に生まれた以上はカマカで働くという思いはあったのですか?
フレッド「学生時代からいずれはファミリー・ビジネスを手伝おうと思っていたけれど、予定より早くなってしまった。大学を卒業したとき母から、父(フレッド)の仕事を手伝ってほしいと言われて一時帰宅したんです。父は販売管理を手作業で行っていたので、ぼくはコンピューター・システムを構築してあげた。一時帰宅のつもりでしたが、結局ここにずっといます」
IMG_0150クリスJr.「学生時代から夏休みは工場の手伝いをしていたので、父(クリス)の会社で働くのは自然なことでしたね。ぼくの専門はバインディングの製作」
IMG_0049ケイシー「ぼくの子供たちはまだ小学生だけど、いずれカマカを継いでもらいたいとは思いますよ。とりあえず今回はディズニーランドに連れていかないと(笑)」

──ハワイの小学校ではウクレレを教えるそうですね。
IMG_0132フレッド「1960年代から、ウクレレを小学校3年や4年生の授業に取り入れるようになったんです。60年代当時、多くの学校がカマカを買った。だから学校が夏休みに入るとウクレレ修理の仕事が入ります」
ケイシー「小学校にはオールド・カマカがたくさんある。ぼくたちが定期的にメンテナンスを行っているんですよ」

──クリスはプロのウクレレ・プレイヤーとしても活動していますが、フレッドやケイシーは?
フレッド「いやいや、ぼくは遊びでホーム・パーティで弾く程度で十分」
ケイシー「ぼくもプロにはなりたくない。シャイなので(笑)」

──カマカ100周年の今年、記念イベントや関連商品には他にどんなものがありますか?
IMG_0031ケイシー「1月にはアナハイムの楽器見本市・NAMM Showで第1弾コンサートを行い、今日(6/25)の日本でのコンサートが第2弾ですね。第3弾は10月中旬にハワイのダウンタウンにあるハワイ・シアターで行い、これが100周年記念の最後のイベントとなります」
クリス「今年発売のウクレレはすべて100周年記念ロゴを入れています。そして100周年記念パイナップル・モデルも、年内に限定発売します」

──パイナップルは、カマカが1920年代に初めて考案した伝説のモデルですね。
ケイシー「創始者の祖父が考案したパイナップル・モデルのデザインを取り入れつつ、現代の仕様にしているんです。今はまだ仕上げをしているところ」
IMG_0038フレッド「間もなく製造に入るでしょうが、発売は今年後半で、そんなに早い時期にはならないと思います。販売本数は100本程度なのでコレクターたちが待ち望むコレクターズ・アイテムですね。販売本数がそろったら、発売日を発表してオーダーを受け付けます。おそらく1日で予約完売するでしょう。それから、カマカの歴史をまとめた本が年内に出版される予定もあります。そしてカマカ・アーティストたちによる記念CD『Keep Strumming! Celebrating 100 years』の発売。じつは今日が初めての店頭販売です」

──3世代にわたって築いた100周年にかける思いは?
IMG_0395フレッド「3世代にわたって大変な苦労があったけれど、こうして100周年を迎えられたのは誇りです。すべては楽器を作る優秀な従業員たちと、そんなカマカ・ウクレレを買いたいと思ってくれる人々のおかげ。カマカのファンには感謝しかない。ファンがいるから、自分たちが頑張れる。クリスとケイシーが思い入れをもって作るデザインやサウンドは、その象徴なんです」

カマカ・ファミリーに代々受け継がれてきた指針は「楽器にカマカの名前を付けるなら、ガラクタは作るな」。その伝統にのっとって1本1本丁寧に製造されたカマカ・ウクレレの音色は、この日のコンサートでも、そしてこの日発売のCDからも、大きな感動を伴って受け取ることができました。(取材・構成/松田ようこ)

kamaka

Bryan Tolentino, Taimane Gardner, Jake Shimabukuro, Herb Ohta Jr., Brittni Paiva, and more.
『1916-2016 KAMAKA UKULELE Presents ‘Keep Strumming!’ Celebrating 100 Years』
(2016年 Kamaka Hawaii)