2016.2.26

1930年代ハリウッド映画に登場する、ハパ・ハオレの隠れた名曲〈その2〉

1930年代のハリウッド映画から生まれたハパ・ハオレの大ヒット曲といえば、ビング・クロスビー主演映画『ワイキキの結婚(Waikiki Wedding)』(1937年)で彼が歌う「スウィート・レイラ二」。その年のアカデミー歌曲賞を受賞しており、作曲したハリー・オーウェンスはワイキキのロイヤル・ハワイアン・ホテルでバンドリーダーを務め、ラジオ番組『ハワイ・コールズ』にも出演するなど、ハワイアンミュージックの世界的発展に大きく貢献した人物です。

この『ワイキキの結婚』は実際にハワイで撮影されましたが、ハワイ色を打ち出した映画の中には、ハリウッドのスタジオにヤシの木やダンサーたちを並べてハワイ風のセットを作っただけで制作されたものも多くあります。当時は、南国の楽園という異国情緒を演出するだけでスクリーンが華やかになった時代で、ココナッツブラに腰みのというタヒチアンダンスの衣装を「ハワイアン」のイメージに置き換えてしまったのも、ハリウッド映画界の仕業と言えます。

ハワイ伝統音楽研究家のラニ・リーさん(写真)がもう1曲、残しておきたいハパ・ハオレとして挙げるのは「ホノルル・ベイビー」。こちらは、日本では「極楽コンビ」の名で知られたローレル&ハーディというお笑いコンビによる映画『極楽発展倶楽部(Sons of the Desert)』(1933年)の挿入歌で、作曲したのは映画音楽作曲家のマーヴィン・ハットリーです。

「ホノルル・ベイビー♪と歌うサビの部分は有名ですが、曲全体は意外と知られていません。だからこそ、きちんと全貌を残したい」と語るラニさん。ハパ・ハオレはAメロ→Aメロ→サビ→Aメロ、という西洋スタイルの曲構成が基本。特にこの曲の、キャッチーなサビとは雰囲気の異なるAメロには、別の魅力があるのです。

そしてこの映画は「ホノルルに行くと妻にウソをついて実はシカゴに行っていた男たち」のコメディなので、セロファン製の腰みのをまとったセクシーダンサーこそ登場しても、ハワイはいっさい出てきません。でもシカゴから帰宅したローレル&ハーディが、ウクレレを持って首に陳腐なレイをかけ、玄関前で「ホノルル・ベイビー」を歌うドタバタ劇は、夢の楽園ハワイをネタにしたお気楽な笑いに溢れているのです。ネット上で映像を検索するなら、キーワードは“Laurel & Hardy” “Honolulu Baby” “Sons of the Desert”で。

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とても陽気に語ってくれたラニ・リーさん

「Honolulu Baby」by Lani Lee