「Waikiki」「Blue Hawaii」「Lovely Hula Hands」「Hapa Haole Hula Girl (My Honolulu Hula Girl) 」など、英語の歌詞で作られたハワイアンソングを「ハパ・ハオレ (Hapa Haole) 」と呼びますが、これらはアメリカ本土の作曲家たちがハワイをテーマに作ったハワイ風ポップスのこと。曲の構成も西洋スタイルで、ハワイの伝統文化であるフラソング(=メレ・フラ)とは一線を画すものです。
ハパ・ハオレが一般に知られるようになったのは1910年代以降。ハワイが南国の楽園として注目され始め、ブロードウェイやハリウッド映画の題材になったことが大きく影響しています。1930年代に入ると数多くの映画が、ハワイを “イメージした” 音楽や踊りをシーンに取り入れるようになりました(必ずしもハワイを正確に描写したわけではありませんが)。
「当時の曲は美しい曲が多いのですが、ディミニッシュやオーギュメントといった難しいコードが使われて、気軽にウクレレで弾けないため、歌い継がれずに忘れられていくのです」と語るのは、ハワイ伝統音楽研究家でフラの先生でもあるラ二・リーさん(写真)。真珠湾攻撃の年に生まれ、10代は日本の基地で暮らした経験をもつ彼女は今、ハワイ島で暮らしながら、忘れられつつあるハワイアンを後世に残すため1000曲以上もの楽曲を、譜面と音源でデータ化しています。
「たとえば『ホノルル』という曲は “ウクレレを買って毎日練習しているわ” という歌詞がとてもキュートなの! 私は、こういう曲こそウクレレで歌い継ぐべきだと思いますよ」
エリノア・パウエル主演映画『ホノルル』(1938年)で、女優のグレイシー・アレンがウクレレを弾きながらこの曲を歌うシーンは、手軽な楽器ウクレレの、本来の楽しさを教えてくれます。ぜひネット上で検索してみてください。キーワードは “Honolulu” “Gracie Allen”。
「Honolulu」by Lani Lee