2015.9.1

90年代に巻き起こったハワイアン・ポップス革命 〜トロイ・フェルナンデス

往年の伝統的ハワイアンが主流だったハワイにおいて、若者層を中心にポップなコンテンポラリー・ハワイアンが好まれるようになったのは、1990年代のこと。

「90年代コンテンポラリー・ハワイアンを語る上で欠かせない存在が、カアウ・クレイター・ボーイズ」と、トイズミュージックスクール主宰のおもさんは説明します。「特に、ハワイ音楽シーンでウクレレを主役に引き上げたのが、カアウ・クレイター・ボーイズのウクレレ奏者トロイ・フェルナンデス。トロイこそがウクレレ早弾きの元祖と言えます」

カアウ・クレイター・ボーイズは1990年代初頭にサーフィン仲間のトロイ・フェルナンデス(ウクレレ&ボーカル)とアーニー・クルーズJr.(ボーカル&ギター、ベース)によって結成されたユニットで、1997年の解散までに4作のスタジオ・アルバムを発表し、その革命的な早弾きピッキング・スタイルが当時の若者の注目を集めました。オリジナル曲「Surf」や、ハワイアン・ソング「Noho Paipai」での驚異的なソロ弾きに、ウクレレの新たな魅力が溢れていたのです。

「90年代は伝統的ハワイアンに縛られず、オリジナル曲のほかポップスやレゲエのカバーに、ウクレレが大活躍した時代。その当時のハワイアン・ポップスは軽快でハーモニーが心地良く、今でもぼくは大好きです」とおもさん。ちなみに今もハワイのカニカピラ(飲んで食べて歌い演奏するパーティ)で歌われるハワイアン・ポップスの代表曲「Surf」(カアウ・クレイター・ボーイズ、1993年)や「Drop Baby Drop」(マナオ・カンパニー、1991年)は、いずれも循環コードで構成される曲で、「つまり4つのコードを順繰りに弾いていれば良いので、誰でもすぐ演奏に参加できる。そこがカニカピラ好きなハワイアンに愛されている理由でもあります」とのこと。

LEARN KAAU JKKa’au Crater Boysbnr_itunesamazon
『Valley Style』
(1995 Roy Sukama Productions)
収録曲「Surf」はAメロとサビが「C-Am-F-G7」の循環コード。

 

 

LEARN ManaoJKMana’o Companybnr_itunesamazon
『A 20Years Collection of the Mana’o Company』
(2011 Dan Pa Productions)
収録曲「Drop Baby Drop」は全編「A-C#m-Bm-E7」の循環コード。